肩の症状に関して
肩の症状に対して困難を抱えている施術家が非常に多いようですね。
肩は就職してすぐに勤務した病院での整形外科医長が
「複雑だから嫌い」
というようなことを言っていました。
その医師は脊椎の専門だったので、当時の自分としては「そっちの方が難しくないか?」と思っていましたが、施術家でも肩で苦労している人は多いですね。
肩の施術に際しては、痛みに対するアプローチと動きに対するアプローチがあります。
両方改善できるのが1番ですし、それが可能な場合も非常に多いです。
ただ、どこまでアプローチするのか?というところは結構議論になると思います。
ある肩の専門家は、肩をどう動かしても、何の痛みも引っかかりも無くさないといけないと言う人もいます。
私はそうは思いません。
そこは、結果として得られれば良いな、とは思いますし、そういうつもりで施術はしますが、最初からそこを目指そうという合意ではやりません。
と言うのも、肩の正常可動域を超えてしまうことがままあること、正常可動域に届いていなくても、何も問題なく過ごしている人もたくさんいること、などが理由です。
院の経営としては、そこまで通わせた方が利益にはなりますね。また、通常そこに到達する前に日常生活では問題がなくなっているはずなので、そこまで通わせるというのはかなり卓越したセールストークを持っているのでしょう。
そういう院が有っても良いな、とは思いますが、私の向かいたい方とは違います。
肩はある程度以上まで改善すると、生活上気にならなくなりますし、肩以外の場所からの影響を受けていることがほとんどなので、肩にばかり注意を向け続けるのは得策だとは思っていません。
直接的に影響しているのは、背骨、肋骨は非常にわかりやすいところです。
鎖骨と肩甲骨は広義の肩として書いています。
可動域を改善することについては、人によって必要な可動域が違うので、必要可動域を超えることには注意を置いていません。また、よく正常可動域を超える(手を上に挙げて頭の後ろまで行ってしまう、専門的に言うと屈曲180°を超える)ビフォーアフターを見ますが、個人的にはあれはやり過ぎだと思っていますし、正直そんな動きは生活上使う人はほとんどいないので、その角度を維持することはまずないです。
可動域よりも重視しているのは、動かしている時の異常な運動、痛み、違和感といったものです。つまり、それらがあるのが関節運動が異常を起こしているということです。そういった異常の原因が、関節の位置や運動の感覚センサー(神経)の乱れ、癒着、筋力の低下などです。特に、可動域の改善ばかりを気にしていると、腕を下ろす時の異常を見逃しがちです。
これを改善するためには、肩だけ見ていたのではまず何かが残ります。左腰の感覚異常が右肩の異常運動の原因になっていることなどは珍しくありません。
目次
痛みの改善について
痛みがなくなるのは誰もが望むところだと思います。
しかし、そこにこだわると改善しなくなる例がいくつも存在します。なぜでしょう?
ひとつには、もう痛みが取れたかな?と痛みに集中すると、痛みに対して敏感になるからです。
気にしていなければ全然痛くないものが、痛いかどうかを確認しようとすると「まだ痛い」と感じることがあります。こうすると、脳は「まだそこは痛いからその動きは避けなきゃ」となり、それがまた異常な関節運動の原因になります。
もうひとつは、日常使わない動きをしてまで痛みが出ないか確認してしまうことです。
これによって、わざわざ検査で炎症を引き起こして治療を長引かせる可能性があります。
これらは非常にもったいないですが、実は頻繁に行われていることです。
これらは肩に限ったことではないのですが、肩は可動域が他の関節よりも広く、運動方向も3軸あるために、他の関節よりもやりがちです。
痛みから解放されるには、痛みにフォーカスしないことも重要です。